「高級個室サウナ」とは、風俗業界で使われる言葉で「ソープランド」のことを意味します。
ソープランドは昔、公衆浴場法という法律によってサウナの設置が義務付けられていた時代がありました。
今はもう法律が改正されたためサウナの設置は不要になったのですが、その時代の名残りが高級個室サウナという名前として残っていると言われています。
今でも使われる「高級個室サウナ」という用語
◎「ソープランド」という響きを嫌う女の子も
昔の昭和の時代の名残りとして残っている「高級個室サウナ」という言葉。実はたんなる名残りではなく、実際に今でも風俗求人や風俗業界ではこの名称をソープランドの代わりの用語として使うことがあります。ソープランドは今では「風俗の代名詞」となっているほど有名な言葉ですが、あまりにも有名になりすぎたせいか、「ソープランド」という言葉を聞いただけで嫌悪感を感じる女性も中にはいます。このような事情もあり、女性向けの風俗求人では今でもお店によってはソープランドという言葉はあえて使わず、「高級個室サウナ」と表記して女の子からドギツい印象を持たれないように配慮するケースもあります。
「ソープランド」という呼び名が定着した理由
◎1984年に「トルコ風呂」から改名したのがきっかけ
かつて、ソープランドは「トルコ風呂」という名称でした。トルコ風呂はもともと、トルコ本国(外国の本家本元の“トルコ国”)では人々が集う伝統的な公衆浴場という意味しかありませんでした。しかし、日本で1951年(昭和26年)に銀座に誕生した「東京温泉」に初めてトルコ風呂という呼び名がつけられたあと、「トルコ風呂」という名称は日本において本来の意味からだんだんはずれていくこととなります。
この東京温泉のトルコ風呂やほかのトルコ風呂と呼ばれたお店も当時は性的なサービスはなく、女性がお客さんにマッサージを行うだけの施設でした。しかし、東京温泉の誕生から2年後の1953年(昭和28年)に浅草のトルコ風呂で女性従業員が男性客のアソコにクリームをつけてしごく“オスペ”なるスペシャルサービス(手コキ)を始めます。浅草のトルコ風呂のオスペは大変な人気を博し、その影響で全国のトルコ風呂に性的サービスが浸透。本来の意味とは外れたトルコ風呂が広まっていったと言われています。
その後、トルコ風呂では手コキにとどまらず男女の本番行為(SEX)が公然の秘密として行われるようになったのですが、トルコ風呂という名前は「ある事件」がきっかけで終わりをむかえます。
その「ある事件」とは、1981年(昭和56年)から日本に留学生として訪れていたトルコ人大学生が発端になったできごとです。このトルコ人留学生は勉学のためにやってきた日本で「トルコ風呂=性的サービスを行う場所」になっていることに大きなショックを受けました。そして、彼は当時の厚生大臣に「我が国伝統のトルコ風呂は性的サービスを行う場所ではない。呼び方を変えてほしい」と直訴、改名運動まで行う一大事件となります。
その結果、東京都特殊浴場協会は改名運動の流れを受ける形でトルコ風呂の新名称を「ソープランド」に変更しました。1984年12月のできごとです。これがきっかけでトルコ風呂という名称は廃止され、日本全国の特殊浴場がソープランドという名前に生まれ変わったのです。
なお、ソープランドという名称は当時、東京都特殊浴場協会が一般から名前を募集する公募の形でアイディアを募りました。ソープランド以外に候補にあがった名前は「ロマン風呂(ロマンス風呂)」や「浮世風呂」「オアシス」「ラブユ」などがあったそうです。
ソープランドは今でも本番行為は違法
◎お店は「お風呂と部屋を貸しているだけ」
ソープランド、と聞くと多くの人が「男女がセックスをする場所」と連想しますが、実は、今でも日本の法律ではお店が本番行為を提供すること(管理売春)をかたく禁じています。
では、なぜ本番が行われているソープランドは警察に摘発されないのでしょうか?
その理由は、ソープランドは女の子を雇っているのではなく、「ソープ嬢という個人事業主にお店のお風呂と部屋を貸し出しているだけ」という建前があるからです。つまり、ソープランドでは
「お風呂と部屋を貸してもらった女性のところにおとずれた男性が女性と恋におち、そこでセックスをした」という形式をとって法律から逃れているのです。
「ウチは売春とは無関係ですよ」という姿勢をアピールしているのですね。
はっきり言ってコレは誰が見ても違和感を感じるかと思いますが、管理売春を禁止している日本ではこのように法律をくぐりぬける「力技」を行わざるを得ないのが現状です。
◎実はソープランドはけっこう摘発されています
上で「なぜソープランドは警察に摘発されないのか」と書きましたが、実は、ソープランドは定期的に警察に摘発されています。
2012年には吉原の人気ソープランドグループが一斉摘発を受けましたし、2016年にも吉原で複数のソープランド店が警察の摘発を受け、代表者である社長や幹部たちが逮捕されています。ほか、全国各地のソープランドが定期的に警察の摘発を受けています。
摘発理由は「売春法違反(管理売春)」です。
警察がソープランドを定期的に摘発する理由はよくわかっていません。一説には「脱税をしたソープランドを摘発した」、「オリンピックや首脳サミットに合わせて摘発した」など、さまざまなウワサがささやかれていますが、真相は闇の中です。
◎ソープが摘発されても女の子は逮捕されません
ソープランドが摘発され関係者が逮捕された、と聞くと、「そこのお店で働いている女の子は逮捕されるの?」と心配になっちゃいますよね。
でも、ご安心ください。
ソープランドをはじめ、日本の風俗店では何らかの理由で運営者である社長や幹部が逮捕されることはあっても、従業員である女性は逮捕されません。
と言うのも、日本では法律上売春を禁止していますが、売春をした女性本人を罰する「罰則」が存在しないのです。(=刑事罰がない)
なので、ソープやデリヘルが摘発されてもそこで働いている女の子が逮捕されることはないです。
ただし、風俗嬢の女の子が不法入国した外国人やビザの期限が切れた不法滞在の外国人女性の場合、入国管理法違反で逮捕され、母国に強制送還されます。(チャイナエステや韓デリなどの違法風俗店で働いているビザ切れの外国人女性が警察に逮捕される様子を撮影したテレビ番組などもありますよね)
【まとめ】
「ソープランドという呼び名が広まったきっかけ」および「ソープランドの“建前”」についてお話をしました。
ふだん、何気なく働いている風俗店にはさまざまな歴史があります。風俗の歴史は知れば知るほど面白く、「そんな理由があったんだ!」とおどろかされることもしばしば。
今回の記事もぜひ、お客さんや同僚の女の子とのトークにお役立ていただければ幸いです。
これからもこちらのサイトでは定期的に「風俗の歴史」や「風俗ひとくち豆知識」についてご紹介していきます☆おたのしみに!